大雨翌日・仕事終わりの近場川でジッターバグにナマズが炸裂
昨日の大雨で泣く泣く諦めた、あの川のナマズ
前日の天気予報とにらめっこしていた夜
前の晩、スマホの天気アプリを何度も開いては閉じてを繰り返していた。降水量のグラフが真っ赤に染まっていて、見るたびに気持ちが萎んでいくのがわかる。最近釣りを再開してから、近場の川でナマズを狙うのが妙に楽しくて仕方なかった時期で、その日も仕事終わりに行くつもりで竿もルアーも準備万端にしていた。なのに、窓の外はもう本降り。ベランダの手すりを叩く雨音を聞きながら、これはもう無理だなと諦めるしかなかった。
増水した川を思い浮かべながら悶々と過ごした一日
次の日は朝からずっと川のことが頭から離れなかった。仕事中、資料を見ているつもりが頭の中では茶色く濁った水がドウドウと流れる映像ばかり浮かんでくる。普段は膝丈くらいの浅瀬が、きっと今頃は胸まで来るくらいの水位になっているんじゃないか。護岸のあたりの流れも普段とは全然違う顔をしているはずだ。そんなことを考えながら過ごす一日は、正直かなりもどかしかった。早く行きたい、でも今日は絶対に無理だとわかっている。そのギャップが地味に堪えた。
仕事終わり、日が落ちる前に賭けた近場の川
「今日行かなきゃ後悔する」と感じた理由
翌日、仕事を終えて空を見上げると、雲の隙間から夕方の光が差し込んでいた。雨は完全に上がっている。この瞬間、頭の中で何かがカチッと切り替わった。今日行かなきゃ後悔する、と。大雨の直後というのは水が動いて魚のスイッチが入りやすいタイミングだというのは、これまでの経験でなんとなく体に染み付いている感覚だった。かといって水位が高すぎると釣りにならない。ちょうどこのタイミングを逃すと、また元の落ち着いた川に戻ってしまって、この特別な条件は消えてしまう。そう思うと、着替える時間ももどかしくて、車に道具を積み込む手が自然と早くなった。
濁りと水位、川に着いて最初に確認したこと
川に着いてまず目に入ったのは、思っていたよりも水位が下がっていたことだった。増水のピークは過ぎていて、川岸の草がぺったりと水の流れた方向に倒れているのが、昨日までここまで水が来ていた証拠として残っている。水色は完全な茶色ではなく、少し赤茶けた濁りが入った状態。透明度で言えば30センチも見えないくらいだろうか。普段の澄んだ流れを知っているだけに、この変わりようには少し驚かされた。でも同時に、これはいけるかもしれないという予感も湧いてきた。
ジッターバグを選んだのは音と波紋への確信
濁った水面でこそ効くと思ったポップ音の理由
ルアーボックスを開けて、迷わず手に取ったのはジッターバグだった。あの独特のプラスチック製リップが水を掻き分けて出すポコポコという音と、左右に大きく揺れながら作る波紋。視界が悪い濁った水の中では、魚は目でルアーを追うよりも音や振動で存在を察知しているはずだと思っている。だからこそ、静かに泳ぐだけのルアーよりも、多少うるさいくらいの存在感を出すルアーの方が、この状況では圧倒的に分がいいと感じた。ナマズは元々夜行性で音や振動に敏感な魚だと聞いていたし、その特性と濁った水というシチュエーションが噛み合う気がしてならなかった。
キャスト位置とただ巻きのリズムをどう決めたか
キャストする場所は、流れが緩やかになっている岸際のえぐれた部分を狙った。増水した水が引いていく過程で、こういう場所に魚が身を寄せていることが多い。ジッターバグを投げ込んで、着水の波紋が収まるのを一呼吸待ってからリールを巻き始める。速すぎず遅すぎず、ポコッ、ポコッと音が一定のリズムを刻むくらいの速度。巻きすぎると音が単調になりすぎる気がして、時々竿先を軽くあおって動きに変化をつけながら引いてきた。この「間」の作り方が、その日のナマズには効いたんじゃないかと今でも思っている。
水面が割れた瞬間、竿先に伝わった重み
アタリからやり取り、ナマズを引き寄せるまで
何投目かのタイミングだった。ジッターバグが岸際の少し深くなったあたりを通過した瞬間、水面がバシャッと大きく割れた。ルアーが一瞬で消える。反射的に合わせを入れると、竿先にズシッとした重みが乗ってきた。ナマズ特有の、ぐいぐいと下に潜ろうとする粘っこい引きだ。無理に巻こうとすると根に潜られそうな気配があったので、竿の弾力を信じてじわじわと寄せていく。濁った水の中でどのくらいの大きさかもわからないまま、姿が見えるまでのあの時間が、いつまでも続いてほしいような、早く見たいような、変な感覚だった。
手にした瞬間に込み上げた達成感
水面に浮いてきた瞬間、ぬめっとした茶褐色の体がはっきりと見えた。予想していたより一回り大きく、ジッターバグをがっちりと咥え込んでいる。ネットに収めて手にした瞬間、じんわりと込み上げてきたのは、単純な釣果の喜びというより「読みが当たった」という納得感の方が大きかった気がする。前日諦めた悔しさも、仕事終わりに急いで来た慌ただしさも、全部このナマズ一匹で報われた。そんな気持ちだった。
大雨の翌日だからこそ出会えた一匹だったのかもしれない
濁りと増水がもたらした条件を振り返って
改めて振り返ると、あの日の一匹は普段の穏やかな川ではきっと出会えなかった魚だと思う。大雨で増水して、水が動いて、濁りが入って、ナマズの警戒心が緩んだのか活性が上がったのか。理由を厳密に説明することはできないけれど、条件が重なったタイミングにこちらの狙いがはまった、という手応えだけは確かにあった。ジッターバグという音で誘うルアーを選んだ判断も、あの濁りがあったからこそ正解になったんだと思う。
次に大雨の後、近場の川へ行くときに試したいこと
次にまた大雨が降ったら、今度は水位が下がりきる前、もう少し早いタイミングでも入ってみたいと思っている。今回よりも濁りが強い状態でジッターバグがどこまで効くのか、単純に興味がある。あとはキャストするポイントをもう少し広げて、流れの筋が変わっている場所も丁寧に探ってみたい。近場の川でこれだけ楽しめるなら、天気予報を気にする日がこれからも増えそうだ。悪くない予感がしている。

